貿易事務の仕事内容とは
海外と取引を行う企業は、大手であれ中小企業であれ、必ず貿易書類を発行するため、貿易事務を行う人が必要になります。うちのように海外営業を担当するメンバーが自ら書類を作る場合もありますが、それでもメンバー内で他の営業から貿易書類を頼まれれば作ることができるようにしています。
ほとんどの企業では貿易事務は女性が行っていますので、こうした職種が多い職場は必然的に女性の多い職場となります。
海外営業がこの貿易事務ばかりに時間を取られてしまうと、海外の顧客フォローや新規開拓ができなくなってしまいます。もちろん、貿易書類の絡むような問い合わせでは海外営業から回答しなければならないことも多々あります。
貿易事務の主要な業務は、貿易書類の作成と、輸送業者であるフォーワーダーとのやり取り、社内の生産部門や出荷部門との連絡調整の業務になります。また仕入れたものを転売する形式をとっている場合、仕入れ先への発注や納期調整も貿易事務がやることもあります。会社にも寄りますが、日本の会社の場合、ほとんどがFAXとメールでのやり取りになるため、緊急時や行き違いがあってどうしようもないとき等を除くと電話でのやり取りは少ないといえます。電話でのやり取りの多くは聞き間違えの可能性があったり、もともと相手も英語を母語としていなかったりといったケースですが、輸送トラブルなどがあった場合は、現地側の輸送業者から電話がかかってくることもあります。
うちの海外営業部のように、海外営業担当と貿易事務の垣根がほとんどないような場合は、営業もかねているため、海外からの電話は結構多くなります。
貿易事務の行う仕事内容の一例としては以下のようなものになります。
- Purchase Orderを受け取る(必要な場合、内示としてForecastなども出してもらう)
- Purchase Orderの数量や条件を確認し、受注したことを相手へメールやFAXで通知する(Order confirmationともいいます)。
- 受けた注文書を社内の関連部署へ展開し、納期を照会します。このとき受注システムなどを使っていることが多いので、会社の受注管理システムなどを使ってデータを入力して生産管理などへ注文情報がまわるようにします。
- 客先から問い合わせなどがあった場合は、製品が納期どおりに出せそうか生産管理に確認し回答する
- 製品が完成したら、Packing List(梱包明細書)や通関用Invoice(送り状)の書類を作成し、非該当証明書、原産地証明書などを手配し、これらをフォーワーダー(乙仲)へ送る。
- 荷物の引き取り場所と時間をフォーワーダーに指定し、ピックアップを依頼する
- フォーワーダーが荷物を引き取り、航空便ならAWBのコピーを送ってくるので、中身に間違いがなければそれにサインしてFAX。船便ならばB/L(船荷証券)のコピーを送ってくる。現物は相手方に送付され、形式的にはこのB/Lをもって船からの荷物の所有権が移転する。
- 相手からの入金を確認する。信用状取引ならば銀行に買取を依頼し、訂正事項などがあり買い取れないという場合は交渉する。入金がない場合、契約に従って督促し、必要なら利息の支払いも求める。
うちの海外営業メンバーは5名なので、全員営業と貿易事務をかねていますが、出張中や手が離せないときなどは基本的に誰でも貿易書類の作成ができるような仕組みになっています。他社と比べて変わっているといわれるのは、うちのボスであっても内勤しているときには自分の分の貿易書類や、出張者の貿易書類の作成を手伝う点です。大会社だとInvoiceの枚数も膨大でサインすらできないため、サインを形作ったハンコで代用し、貿易事務担当者が決裁担当にかわってハンコを押していくというようなことも割とあります。
あとは会社にもよるでしょうが、貿易に特化している部署ではない場合、営業事務的な伝票や帳票類の入力、確認作業や部内の事務全般、庶務的な仕事も貿易事務の仕事の範疇に入るでしょう。うちの会社はお茶汲みは男だろうが女だろうが自分の分は自分でやること、来客時も同様という不文律があるため、特に男性、女性の区別が仕事上はありません。営業ノルマについても、海外営業担当それぞれについています。
スポンサーリンク